プレビューモード

サーファーからの手紙

ちょっとうれしいことがありました。

同じアメブロで、まったく違う分野の方が俺のブログを紹介してくれてます。

http://ameblo.jp/mie-sic/entry-10575789790.html

うれしいですね。

前にかいたインフォ・リッチ・フードのところを引用してくださっています。

昨日ちょうどプラトンの洞窟の比喩に言及してあんな話をしたばかり。

そこでこういうことがあるというのは本当に驚きです。

俺は、分野を横断する言葉を残すということにすごく憧れがあります。

昔、蓮實重彦が確かドゥルーズなんかに言及しながら、すごい思想は領域を横断するのだと言ってました。

ふむふむ、そうか、と思っていた次第。

実は俺の論文にインスピレーションを受けて作品を作ってくれている現代美術の作家がいます。

前野智彦さんという方です。

前野さんが俺の論文にも言及してくださいつつ、自作を語ったインタビューがあるので、URLを載せておきます。

http://www.gallery-tsubaki.jp/2006/060313a.htm

今後、いろいろ一緒に仕事をする話もさせていただいているので、その折りにはここでもお伝えします。

前野さんはちょくちょく個展を開いているので、関心のある方は是非!

こういう領域横断について、いつも思い出すジル・ドゥルーズの言葉があります。

晩年の彼に長時間インタビューした『アベセデール』という映像作品があるのですが、その中での話です。

このアベセデールというのはAならAnimal(動物)、BならBoisson(飲み物)といった感じで、アルファベットごとにテーマを決めて話をするというものです。

でその中のCのCulture(教養)のところでこんな話をしているのですね。

撮影当時、ドゥルーズは一七世紀の哲学者ライプニッツについて、『襞——ライプニッツとバロック』という本を出版したばかりだった。

襞―ライプニッツとバロック/ジル ドゥルーズ

¥3,150

Amazon.co.jp

タイトルになっているのは"Pli"という語で、これは邦訳だと「襞」と訳されてますが、「折り目」という意味もあります。

で、この本を出版したあと、いろいろ手紙をもらった。

知識人のやつは「すばらしいですね」とか書いてある。

こういうのは、まぁあんましおもしろくない。

だが、それらの手紙のなかにおもしろいのがふたつあった。

一つは紙折り職人から来た手紙。

「私たちは折り目(Pli)で仕事をしています」。

ドゥルーズの反応

——こういう出会いがおもしろい!

——こういうのを出会いと言うのだ!

なるほど。

二つ目の手紙。

なんと

サーファーから。

「おれたちは自然界の襞、海の襞に乗っているんですよ!」

ドゥルーズの反応

——これこそが出会いです!

いやぁ、こういう反応をするあのオジサンは本当におもしろいです。

ジルのオジサンは最高です。

で、

ここからドゥルーズが導き出した結論というのがまたすごい。

『襞』っていうライプニッツ論を書いた……紙折り職人から手紙が来た……サーファーから手紙が来た……

大切なことはこんな風にして、〝哲学によって哲学から出ていくこと〟なのだ。

Sortir de la philosophie par la philosophie...

ジル、マジかよ!って感じですね。

でも、分かります。

哲学がこんな風に他の分野と共鳴するというのはとてもすてきです。

付け加えてこんなことも言っています。

哲学から出ていくというのは、哲学とは別のことをやるということではない。

哲学をやることで哲学から出ていかねばならないのだ。

『アベセデール』は是非とも日本語字幕付きで日本でも発売してほしいです。

出版社のみなさんよろしくお願いします。

因みに俺には無理です。

映画研究をしているドゥルージアンがたくさんいらっしゃいます。

その方たちが束になればすぐにできるのではないかと。

俺も授業でたまに見せるけど、字幕がないからきついです。

俺のへたくそな同時通訳でずっと見せるのは無理です。

あと、あのゾーンコードってのをなんとかしてくれ!

フランスのDVDは日本のプレイヤーじゃ見れないから、わざわざ教室まで俺のプレイヤーをもっていってるんだよ!