プレビューモード

低成長社会の新しい家族モデル

先週末から

毎晩のように仕事が入ってて、

やっとゆっくりできています。



1日金曜日は

小平市生活者ネットワークの事務所で

フランスの出産・育児について

いろいろお話させていただきました。

4日月曜日にも

こんどは高崎経済大学で

公開講座というかたちで

同じくフランスの出産・育児について

講義してきました。



もちろん実体験も多く話しましたけれど、

やはりいろいろ調べないとしゃべれないわけで、

いくつか雑誌論文なんかも読みましたが、

この件について

気軽に読めて役に立つ本としては

次がお勧め。

 

なぜフランスでは子どもが増えるのか -フランス女性のライフスタイル (講談社現代新書)/中島 さおり

¥777

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著者の中島さんは、

フランスで子育てされている方です。

中島さんご自身が感じたことがはっきりと書いてあると同時に、

情報もしっかりしているので、

いいですよ。お勧めです。




この中でおもしろかったのは、

いくつもあるんですが、

フランスはカップルで動くことが多いから、

男友達、女友達同士が

つれだって食事なんかにいくのは珍しいって話。

で、

だからでしょうが、

フランスは独り者のことを周りが心配し、

「あいつをあの人を会わせよう」とか考えてパーティーなんかを開くんだそうです。

出会いのシステム(習慣、制度)が

そういうかたちで作られているんですね。

日本はそういうものがないと中島さんは言っています。

まぁ、

確かにそうかもなぁ。

何もかもが個人の自己責任になってしまっていますよね。

でも、

出会いというのはそんなにあるもんでもないわけで、

周囲がみんなで気遣っていくというのは

いい習慣だと思いますね。






この出会いの話はいい話なんですけど、

それより何より、

この本では、

フランス女性の経済力についての話が最も重要だと思いました。

ずばり、

心打たれる一節を引用します。

「フランスでは専業主婦を養えるほどの収入がある男性はそう多くないので、妻にも働いてもらいたがるのが普通なのだ。〔…〕日本女性とフランス女性に本質的な差があるわけではない。環境に差があるだけだ。女性が男性に「経済力」を求めるのは、自分に「経済力」がなかったり、それを持つ可能性を封じられているからだ」 (p.163)。

フランスでは

2006年に、

新生児の婚外子率が

50パーセントを超えました(80年代は20パーセント)。

別にそうした子どもの母親がひとりぼっちということではない。

子どもを作るということになっても、

みんな結婚しないだけなんです。

なんで結婚しないんでしょうか。

別に結婚という制度によって保証されなくても

女性が経済力をもてる社会的基盤があるから、

心配ないわけです。

3才からは全入の公立の保育学校(école maternelle)というのがあって、

子どもの面倒はみてくれます。

3才までなんとかすればあとは大丈夫なわけです。

そして、

3才までは育休がとれます。

保育ママ制度も充実している。




女性が、

結婚による制度的身分保証、

配偶者の経済力、

そうしたものを求める、

求めざるを得ないのは、

まさしく、

「自分に「経済力」がなかったり、それを持つ可能性を封じられているから」

ではないでしょうか。




俺は、

フランスの共働き

——この「共働き」って言葉も変ですよね、だって、どっちか一方しか働かないのが「普通」と思われているから、いちいちこんな言葉が使われるわけです——

事情というのも

これからの日本にとって

重要なヒントになると思ってます。

「フランスでは専業主婦を養えるほどの収入がある男性はそう多くないので、妻にも働いてもらいたがるのが普通なのだ」

ということですが、

日本経済も

これからは低成長が続きます。

高度経済成長みたいのが起こる見込みはない。

いわゆる

〈成熟社会〉のかたちを模索していくことになるはずです。

すると、

男性が専業主婦を養えるほど収入を得られるという事態は

少なくなるでしょう。

実際、

今ももう既にそうなりつつあります。

2008年の金融危機以来、

もともと多かった待機児童の数は

右肩上がりです。





俺は

ならば

共働きが一般化すればいい

って思ってます。

そして、

共働きが容易であるような

社会態勢にすればいいと思っている。

要するに保育園や学童保育など、

育児支援態勢を充実させていくということです。

そうすれば、

低成長社会にあわせた家族モデルを構築できるだろうし、

女性の社会進出を支援できるし、

育児支援態勢も整えられる。





これからは、

給料もらうためにみんなが働いていて、

その給料はそれほど高くないけど、

みんなが楽しく生きていけるような制度はきちんと作られている、

そんな生活モデルがいいのではないでしょうか?



とにかく現在の日本の制度設計は

高度経済成長期に行われていて、

その時の家族モデルというのは、

男性を馬車馬のように働かせ、

家庭のことは全部女性にやらせる、

(男は家ではbig babyで、妻は「かあちゃん」と呼ばれる…)

というものでしたので、

そんなモデルがいまも通用するはずがないわけです。




繰り返しますけど、

そのモデルが通用しなくなって、

みんなの給料も減って、

でも、

それでも楽しく生きられるならいいじゃん、

それでも楽しく生きられるような社会制度を作ればいいじゃん、

ってのが俺の考えです。



猛烈に働いて猛烈に稼いで…

って生き方は

もう無理だし、

古い。

これをむしろチャンスだと思って、

社会制度の設計をやり直したらどうでしょうかね。

ワークシェアリングなんかも考えてもいいでしょうし。




フランスにいるとき

すっごい不思議だったんだけど、

「金持ちになりたい」

って気持ちが全然なくなるんだよね。

日本もあれを目指すべきじゃないかな。