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就活、エウレゲイン

内田樹さんが、

「日本の人事システムについて」 というタイトルで

学生の就職活動について書いていらっしゃる。

茂木健一郎の、新卒一括採用に対する批判に

大枠で同意しつつ、

《この採用システムでは「きわだって優秀な人材」を逃してしまう》

という点にアクセントを置くことには

違和感を表明。

「問題は「きわだって優秀なわけではないが、育てようによっては、かなりいいところまで行きそうな潜在能力をもった人たち」(若者たちのボリュームゾーンを形成する部分)を日本社会が構造的に「潰している」という事実の方である。」

これは俺も全く同意。

俺も専任で大学で教えるようになって三年目ですが、

最近よく感じるのは、

学生は

実は

成長するということです。

アホか

と思われるかも知れませんが、

最近になって、自分が、

大学生ぐらいの年になったら人間はあまり変わらない

ってずっと感覚的に思い込んでいたことに気がつきました。

むしろ逆ですね。

大学ぐらいからの方がけっこう変わる。

やはり、大学生になるとそれなりに反省的になれるし、

広い意味での技術を身につけることが可能。

偉そうな言い方になりますが、

國分ゼミの学生はものすごく成長しました。

驚いています。

プレゼンでのしゃべり方、説明の仕方、配付資料の作成、議論の仕方、

すごくよくなりました。伸びました。ちょっと感動しています。

俺みたいな世間知らずがと思われてしまいそうですが、

結構俺は、社会マナーみたいのも教えるように心がけているんですね。

だって、そうじゃないと、例えばこれは國分ゼミの学生の例ではありませんが、

「どうも。……です。よろしく」

みたいなメールが来るんですよ。

ゼミ生にはそういうこともいろいろ言っていたんですが、

その点も非常にいいですね。

俺はこのブログを始めた頃に書いたように、

哲学のゼミなのに就職がいい

じゃなくて、

哲学のゼミだから就職がいい

というゼミにしたいんですね。

これはカントが

哲学の学校概念と世間概念で言っていたことにもつながる、

哲学の地位についての正統な見解だと思うのです。

例えば

私の勤める高崎経済大学で、古代ギリシア以来の民主制について幅広く研究されていらっしゃる名和賢美先生は

いつも

教養のある人とはエウレゲインを身についけている人のことで、これは立派に語る人という意味だ

と仰っています。

哲学は概念を扱う。

概念を扱う訓練をするのが哲学の勉強の一つですが、

テキストを読んで概念をつかみ取り、それをうまく説明し、またその概念を使ってものを語るという訓練が、

立派に語るということにつながらないはずはなく、

立派に語るということが社会で役に立たないわけがない。

俺の語っていることは理想論でしょうか。

理想論でしょう。

でも、理想論が語る以外のことは簡単に身につけられます。

面接の達人とかいった本をトイレで読めばいい。

理想論が語っていることを身につけるのには時間がかかる。

だから、理想論を言うこと、言い続けることが大切です。

でも、

社会制度の問題はやはり考えなければなりません。

新卒一括採用重視というのは本当にばかげています。

茂木さんが言うことも、内田さんが言うことも正しいです。

で、

さすがにお上もそれに気がついてきたようで、

ちょっと前にこんな記事がありました。

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卒業後数年は新卒扱いに…日本学術会議提言へ

8月15日3時5分配信 読売新聞

 日本学術会議の検討委員会(委員長=北原和夫・国際基督教大教授)は、深刻な大学生の就職難が大学教育にも影響を与えているとして、地方の大学生が大都市で“就活”する際の宿泊・交通費の補助制度など緊急的な対策も含んだ提言をまとめた。

 17日に文部科学省に提出する。企業側が、卒業して数年の「若年既卒者」を新卒と同様に扱うことや、早い時期からの就業体験も提唱。学業との両立のためのルール作りも提案している。文科省は、産業界の協力も得て、提言を現状改善につなげる考えだ。

 提言は大学教育の質の向上を目的としたものだが、就職活動に労力と時間を取られ、それが学業にも悪影響を与えているとして、就業問題の解決策に踏み込む異例の内容となった。

 具体的には、大学側に、卒業後3年程度は就職先の仲介や相談といった就職支援体制をとることを求め、企業側には、若年既卒者も新卒者と同枠で採用対象と するよう求めた。さらに、平日は学業に集中し、就職活動は週末や長期休暇期間に集中させるルール作りなど、大学と企業側が協力しての対策にも言及してい る。

 5日発表の文科省の学校基本調査では、大学を今春卒業したが就職も進学もしなかった「進路未定者」が5年ぶりに10万人を突破した。今回の提言では、「新卒優先」の日本の労働市場の構造が大学生の就職問題を一層過酷なものにしていると指摘している。

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もしかしたらすこし変わるかもしれませんよ

というニュースでした。