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『新潮』七月号

2月に東浩紀さんと千葉雅也君と俺とで、東さんの仕事を巡るシンポジウムをやりました。

詳細は以下のURLを。

http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/blog/2010/03/post-332/

で、その模様が今度の月曜日、7日に発売される『新潮』七月号に掲載されます。

http://www.shinchosha.co.jp/shincho/

東さんのデリダ論『存在論的、郵便的』から、昨年発表された小説『クオンタム・ファミリーズ』まで、三人でいろいろな観点から論じています。

ほんといろいろ。

現代フランスの哲学者カトリーヌ・マラブーから、可能世界、更には子育てまで。

俺は結構『クオンタム・ファミリーズ』につっこみをいれてます。ヒヤヒヤしてるんですが。

それと、あのときは現代の分析哲学における可能世界論をにわかに勉強して、その話をしました。

とくに、『存在論的、郵便的』で強力に論じられたソール・クリプキと、可能世界がすべて実在すると考える(世界でただ一人の)哲学者、デイヴィッド・ルイスを並んで取り上げました。

ルイスの可能世界論には到達可能性という考え方があって、それで考えていくと、ルイス的な可能世界論は成立しないのではないかという仮説を提示している。

クリプキは俺も卒論以来のつきあいで割と定見があるんだけど、ルイスについてはそういうわけではないので、こちらもヒヤヒヤしてる。

とにかくおもしろいので、是非ご覧ください。

東さんは、『クオンタム・ファミリーズ』で三島賞を受賞されました。その直後の『新潮』にこのシンポジウムの模様が掲載されるというのは実にタイムリー。

さて、東さんが『存在論的、郵便的』を『批評空間』に連載されていた頃(九〇年代後半)は、関心が似かよっていたこともあって、東さんの一言一言がいったい誰のことをどう思って発せられているのかが手に取るように分かったもの。

そこで暗黙のうちに展開されていた批判に俺も強く同意していた。

だからこそ、あの連載を応援してました。

しかし、その東さんはいまではずいぶん遠くまで行ってしまったという気がしています。

俺にとっては、小説が書けるというのは本当に圧倒的なことです。

というわけで、『クオンタム・ファミリーズ』も一生懸命に読んであのシンポジウムに臨んだので、是非。