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「機械論(マシニスム)は何故そう呼ばれるのか」

今日の午後は興奮しました。

これから書店にならぶはずの『思想』9月号が届いたのですが、

そこに、

江川隆男さんが

俺と千葉雅也君で訳した『アンチオイディプス草稿』の書評を書いてくださっています。

その名も

「機械論(マシニスム)は何故そう呼ばれるのか」







封筒を開けて立ったまま読みふけりました。






同書出版直後、

『思想』編集部の方から、

江川さんに書評をお願いしたとの話を伺っていたので、

楽しみにしていました。

期待は裏切られませんでした。

すばらしいです。

江川さんありがとうございます。



江川さんは本当にこの本を読んで書いてくださっています。

書評というのは、対象となる本の周囲で言われていることを適当にまとめたものなどがけっこう多いのです。

江川さんのは違います。

まさしく読解されています。

しかも、

ものすごい硬派の論考です。

あんまし言うとネタバレになるのでたくさんはかけませんが、

あの難解な文章群を、

見事に整理されています。

だいたい

タイトルがかっこいい。

「機械論(マシニスム)は何故そう呼ばれるのか」。

もちろんこれは

ドゥルーズの「構造主義は何故そう呼ばれるか」に範をとって書かれたものです。

「機械論」というタームを中心とすることで、

ガタリがやたらめったら書きまくったテクストの集合であるあの本にぼんやりと浮かび上がっている思想の公準のようなものをまとめていらっしゃる。

訳者として断言しますが、

江川隆男「機械論(マシニスム)は何故そう呼ばれるのか」は『アンチオイディプス草稿』を読解する上での必読文献となるでしょう。



江川さんの文章は難解なことで知られています。

確かに難解なものが多いのですが、今回のは非常に読みやすいです。



江川さんのお仕事というとまずは

ドゥルーズ論『存在と差異』があります。

存在と差異―ドゥルーズの超越論的経験論/江川 隆男

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これも難解です。いや、難解に見える。でも、ゆっくり読めばそんなに難しいことはありません。俺はあの本は、ドゥルーズの時間論を解説されているところが好きです。

『差異と反復』の時間論は単に時間がどうしたこうしたとかいった話じゃないんだ、と。

あれは、生の様式、要するに生き方の問題なのだ、と。

全く同意です。そういう視点がない時間論というのは本当につまらない。



そして
『死の哲学』

死の哲学 (シリーズ・道徳の系譜)/江川 隆男

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これは『アンチオイディプス草稿』の共訳者である千葉君がかなり高く評価していたことを記憶しています。

スピノザは喜び/悲しみの二つで考えていきます。

そして悲しみを減らし、喜びを増す方向での生き方を目指す。

でも、それに対してはこういう批判があるんですね。

スピノザは量的にはかれるような喜び/悲しみしか考えていないのではないか。

たとえば、全く何もできなくなってしまうような絶対的な悲しみのようなものを考えていないのではないか。

どんな喜びの感情をもってきても喜びの方向へと向かえないような、そんな状態の人間について考えていないのではないか。

これは江川さんではなくて、何とかって言う確かフランスの研究者が言っていることです(名前忘れた…)。



江川さんは、スピノザに絶対的悲しみのようなものを読み取り、しかも、それがある種の主体の生成変化と結びついているという大変興味深い視点を提出されている。

俺はこの本は読み込めていないので、不正確なところがあったらお許しください。

でも、これはものすごいおもしろい視点だと思います。




最後に、

江川さんは作曲家なんですね。

で、

なんと、

ドゥルーズに自曲のスコアを送ったことがあるそうで、

しかも、

ドゥルーズから返事をもらったとお聞きしています。

『存在と差異』の表紙裏には、江川さんの曲のスコアが印刷されています。





とにかく、

『アンチオイディプス草稿』に関心をお持ちの方は、

是非、江川さんの書評を読んでください。

導きの糸になるはずです。