プレビューモード

『千のプラトー』、イスラエル国防軍

ここのところ

河出文庫がすごい。

河出文庫は、

俺のような

フランス現代思想人間のために

存在してくれているのだろうか。



河出文庫に収録されたドゥルーズの著作には

『差異と反復』

『意味の論理学』

『ニーチェと哲学』

『記号と事件』

『批評と臨床』

がある。

更に

ちょっと前だけど

『アンチ・オイディプス』が出た。

で、

いま

『千のプラトー』が刊行中(全三巻本で、中巻が先日発売)。

 

千のプラトー 上 ---資本主義と分裂症 (河出文庫)/ジル・ドゥルーズ

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千のプラトー 中 ---資本主義と分裂症 (河出文庫)/ジル・ドゥルーズ

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『千のプラトー』は

文庫だと読みやすい。

訳文にはそんなに手は加わっていないようだけど、

前の単行本は

とにかく分厚い。

あれで人を殴ると大変なことになる、ぐらいの厚さ。





文庫になってから、

とりあえず、

「ミクロ政治学と切片性」を読み直した。

線の種類には三つあるとあり、

これまで全然理解していなかったことを恥じる。





さて、

この『千のプラトー』だけど、

それが提示した概念として有名なものに

平滑空間と条理空間というのがある。

条理空間というのは、

境界線によって隔てられた領域によって構成されている空間で、

典型的なのは、

国境で区切られた地球表面の政治的空間。

平滑空間というのは、

そのような領域が前提されていない空間のことで、

たとえば、

ドゥルーズ=ガタリは、

各国の原子力潜水艦がうごめく海底を例として挙げている。

あそこには国境も何もなくて、領域侵犯するのが当たり前。

ドゥルーズ=ガタリは、

条理空間を将棋

平滑空間を囲碁

の例でも説明していた。

将棋は少しずつ陣地を増やしていかなければいけないけど、

囲碁はいきなりどこにでも石が置けるわけで、

二つのゲームには

空間の把握において

大きな違いがある。



で、

この平滑空間/条理空間

には留まらないんだけど、

ドゥルーズ=ガタリは

好んで軍事的な比喩を使う。




だから、

『千のプラトー』はアメリカ軍によって

実現されているのではないか

というような意見があったぐらい。





そして、

最近知ったんだけど、

『千のプラトー』の概念が、

実際に軍事的に応用されているらしい。

しかも

あろうことか

イスラエル国防軍。




参考文献の一つは

(これまた河出文庫)

スラヴォイ・ジジェク『ロベスピエール/毛沢東——革命とテロル』

ロベスピエール/毛沢東―革命とテロル (河出文庫)/スラヴォイ ジジェク

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ジジェクによれば

「イスラエル国防軍の軍事学校は、パレスチナ人民に対するイスラエル国防軍の市街戦を概念化するために、ドゥルーズとガタリ、とくに『千のプラトー』を系統的に参照し、それを「作戦理論」として用いている」(p.58)。

そして更には…

「いまやイスラエル国防軍は、境界がないかに見える空間における作戦に言及する必要がある場合、しばしば「空間を平滑化する」という表現を用いるようにさえなっている」(同前)。



すこしネットで調べてみたら、

Why the Israeli Army Loves Deleuze

とか、

The Art of War: Deleuze, Guattari, Debord and the Israeli Defense Force

とか、

こんな記事があった。




なぜ、よりにもよってイスラエル国防軍なんだろうか…。

ドゥルーズは「ヤセル・アラファトの偉大」という文を書いているけれど、

イスラエル国防軍が、

「そんなことは気にしない、

使えるものは使う」

という態度に出ているんだとしたら、

往々にして、

左翼っぽいものはとりあえず肯っておく

したがって

そうじゃないっぽいのはとりあえず斥ける

って態度の

ドゥルージアンたちは

完全に負けてるな。

緊張感が違うんだ。

もちろん軍事に関わる人間の緊張感はハンパないものだろうけど、

でも、

哲学やる緊張感だって同じじゃないの?

もちろん緊張感があれば何でもやっていいというわけじゃないけど。





俺は

なんだか分からないけど

ドゥルーズ=ガタリがそこで使われているって

この話を知って

くやしかった。







とにかく、

『千のプラトー』が

いま文庫になったということは、

いまこれを読み直せ

ということだろうから、

あの軍事学校に負けない

緊張感を持って、

それを圧倒するような読解を展開するべきですので、

俺も努力します。