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  • 映像の哲学 第25回

    哲学は文系か -ETV特集「誰のための司法か~團藤重光 最高裁・事件ノート~」-    法律は社会を支える要の一つである。そして法律は文によって成り立っている。文を扱うにあたっては、解釈を中心とした独特の技術が必要とされる。それは文字を学ぶところから始まり、身につけるまでに長い修養を必要とする...
  • 映像の哲学 第24回

    古代語を話す −『ロキ』−    日本で哲学を研究するとなると、語学に精通することがどうしても必要である。が、この点、私の意見はやや分裂している。  一方で私は、哲学を学ぶならば絶対にいくつかの言語を身につけるべきであると固く信じている。研究論文は様々な言語で書かれているし、そもそも研究対象と...
  • 映像の哲学 第23回

    泣くという経験 -『シンドラーのリスト』-    今回は映画そのものというよりも、私のある映画経験を通じた話を書きたい。「映画鑑賞」はしばしば「泣く」という行為に結び付けられる。だが私自身は、なぜか、ある時期まで、映画を観ながら泣いてしまうことを強く恐れていた。泣きそうな感覚を体内に感じると、...
  • 映像の哲学 第22回

    Newtonとファクシミリ -『暴走特急』-    アクション映画やサスペンス映画にとって、連絡を巡る問題は、物語を魅力的にするために欠かせない要素である。主人公が危機を知らせようと奮闘している間、まさしくサスペンス状態が訪れる。連絡の遅延は悲劇を産む。思えばオイディプス王の悲劇は、もっと早く...
  • 映像の哲学 第21回

    音と精神性 -『ヨーロッパ一九五一年』-    哲学者ジル・ドゥルーズは『シネマ1*運動イメージ』、『シネマ2*時間イメージ』という全2巻の長大な映画論を残した(邦訳はそれぞれ、法政大学出版局、2008年、2006六年)。この映画論のテーマを一言で言い表すことは私にはできないけれども、そのテー...
  • 映像の哲学 第20回

    美味しそうな音 -『原発切抜帖』-    土本典昭監督の『原発切抜帖』(1982年)という映画は実に変わった作品である。新聞の切り抜きの映像と小沢昭一氏のナレーション、そして、高橋悠治と水牛楽団の音楽だけで映像が展開していく。私の世代は小沢昭一氏の声には信じられないぐらい慣れ親しんでいるのだが...
  • 映像の哲学 第19回

    差 別 -『南部の反逆者』-    差別を論じるのはとても緊張する作業である。もちろんそうであるべきだ。差別は人間を決定的な仕方で傷つけるからである。この緊張する作業に、しかも、いったいどう解釈したらよいのか迷ってしまう映画を通じて取り組んでみたい。取り上げるのはラオール・ウォルシュ監督の『南...
  • 映像の哲学 第18回

    儀式と決定 -TVシリーズ『シャーロック・ホームズの冒険』第4話「美しき自転車乗り」-    儀式を経て行われる決定とは不思議なものである。たとえば国会のような議会での決議のことを考えてみよう。審議と多数決のような然るべき手順を踏んだ後で、議長が「この法案は可決されました」と口にして、ガベルと...
  • 映像の哲学 第17回

    滞留と理性 -『醉いどれ天使』-    映像だけはありありと思い出されるが、映画の名前が思い出せない。なぜその映像がこれほど鮮明に記憶されているのかは分からず、度々思い出してしまう。現代の言葉で言えば、これは軽いトラウマ体験なのであろう。自分のそれまでの経験から予期できる範囲を超え出た映像が目...
  • 映像の哲学 第16回

    Labor -『三人の名付親』-    ジョン・フォードの作品を取り上げたら、こちらも語らずにはいられなくなった。『三人の名付親』(ジョン・フォード監督、アメリカ、1948年)は、私が一番好きなフォードの映画である。三人のならず者が砂漠地帯で追手を逃れるなか、出産中の女性に出会い、その子を受け...
  • 映像の哲学 第15回

    創 設 -『リバティ・バランスを射った男』-    ジョン・フォード監督作品、『リバティ・バランスを射った男』(アメリカ、1962年)は西部劇だが、英語圏では政治哲学の文脈で盛んに論じられているという。そうした研究を概観することはできていないのだが、確かにこの映画には国家の創設、特にアメリカの...
  • 映像の哲学 第14回

    暗躍の象徴 -『リチャード二世』-    めずらしく演劇を観る機会がありたいそう思考を喚起されたので、「映像の哲学」というテーマからは少しそれるかもしれないがその話をしたい。静岡県舞台芸術センター制作のウィリアム・シェイクスピア作『リチャード二世』(寺内亜矢子演出、小田島雄志訳)である。  同...