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國分功一郎の哲学研究室|著作一覧

著作一覧

  • スピノザの方法

    『スピノザの方法』

    みすず書房/2011.1

    僕の一冊目の著作です。博士論文がもとになっていますので、専門的な議論が中心ですが、第一部は哲学についての知識がなくても読めますし、議論を追っていけばスピノザ哲学の特異なところが分かるように書かれています。

  • 暇と退屈の倫理学

    『暇と退屈の倫理学』

    朝日出版社/2011.10
    →太田出版(homo viator)/2015.3(増補新版)
    →新潮社(新潮文庫)/2022.1

    前提知識を要求しないけれども、議論の内容としては本格的であって、いわゆる入門書ではない、そういう本を目指して書きました。これまで大変多くの方に読まれてきた本です。一人一人が直面する実存的な問題と、経済体制のような社会的問題との両方を視野に収めた議論を展開することを意識的に行っています。

  • ドゥルーズの哲学原理

    『ドゥルーズの哲学原理』

    岩波書店(岩波現代全書)/2013.6

    スピノザと並んで僕が専門的に研究している哲学者の一人がジル・ドゥルーズです。ドゥルーズに関心があるなら、ぜひ最初に読んでいただきたいと自信をもってそう言える内容になっています。2020年には英訳も出版されました。僕の本はよく探偵小説のようだと言われるのですが、この本はまさしくそのような仕方で書かれていると言えるでしょう。

  • 来るべき民主主義――小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題

    『来るべき民主主義――小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題』

    幻冬舎(幻冬舎新書)/2013.6

    地元で関わった道路建設問題を巡る住民投票の経験から書かれた本です。この経験を通じて、僕は民主主義という政治体制に対する一つの視点を獲得することができました。それが民主主義体制における行政の位置付けです。この本を出発点に、僕の政治に関わる仕事はいずれも、行政権力の意味を視野に収めつつ行われることになっていきました。

  • 哲学の先生と人生の話をしよう

    『哲学の先生と人生の話をしよう』

    朝日新聞出版/2013.1
    →朝日新聞出版(朝日文庫)/2014.4

    宇野常寛さんが編集されている雑誌『PLANETS』のメルマガで連載していた人生相談です。思いのほか、これはテキスト読解の事例集のようなものになりました。人生相談というとどんな視点からどう答えるかが注目されますが、僕は徹底して相談相手のテキストを読むということを繰り返しました。最初から狙っていたわけではないのですが、やはり読むのが仕事なのでそうなってしまったようです。

  • 近代政治哲学――自然・主権・行政

    『近代政治哲学――自然・主権・行政』

    筑摩書房(ちくま新書)/2015.4

    ボダン、ホッブズ、スピノザ、ロック、ルソー、ヒューム、カントらの政治哲学を独自の視点で解説した本です。具体的に言うと、『来るべき民主主義』で提示した行政権力への注目からこれらの思想家を読み解くという形になっています。学部生用の政治哲学の授業をもとにしていますので、最初に読む手引きとしても役に立つであろうと思います。

  • 民主主義を直感するために

    『民主主義を直感するために』

    晶文社(犀の教室)、/2016.5

    出版当時、日本の政治文化や道徳意識は当時の政権によって決定的なダメージを受けていました。現在もそのダメージから日本社会は回復してはいません。この本はそうした問題意識のもとに書かれた様々な文章を集めた論文集です。5年以上前の本ですが、ここで提示した政治的課題は全く変わっていないというのが僕の認識です。

  • 中動態の世界――意志と責任の考古学

    『中動態の世界――意志と責任の考古学』

    医学書院(シリーズ ケアをひらく)/2017.4

    間違いなく僕の主著の一つです。この本を書くためにギリシア語を学びに学校へ通うなど、大変な苦労をして書いた本であり、自分にとっても非常に大切な本の一つです。決して分かりやすさを目指していたわけではないのですが、大変多くの方々に読まれました。本書を機に「中動態」への注目が高まり、現在ではこの単語をタイトルに掲げた本が何冊か出版されています。

  • はじめてのスピノザ――自由へのエチカ

    『スピノザ『エチカ』』

    NHK出版(100分de名著)/2018.12→『はじめてのスピノザ――自由へのエチカ』 講談社(講談社現代新書))/2020.11

    NHKの番組「100分de名著」でスピノザの『エチカ』を取り上げるにあたって書いたテキストなのですが、全四章でコンパクトにこの本のエッセンスを紹介した本になりました。善悪、本質、自由、真理というのが各章のテーマなのですが、スピノザの『エチカ』に描かれたこれらの概念が、我々の常識におけるそれとどんな風に異なっているのかを論じています。

  • 原子力時代における哲学

    『原子力時代における哲学』

    晶文社(犀の教室)/2019.9

    2011年の原発事故に僕は大変大きな衝撃を受けました。2011年に最初の本を出版しているので、僕の言論活動は原発事故以後の日本社会と切り離せないものになっています。僕自身の思想のようなものがあるとすれば、その一側面は間違いなく「ポスト原発事故」なのです。しかし、あまりにも重いテーマであるため、なかなかそのことについて本を書くことができずにいました。その課題を何とか達成したのがこの本です。一種のハイデガー論にもなっています。

  • スピノザ──読む人の肖像

    『スピノザ──読む人の肖像』

    岩波書店/2022.10

    日本語で「意識」と「良心」は全く別物です。けれどもconsciousness(意識)とconscience(良心)はそっくり。それもそのはずで両者は元々明確には区別されておらず、ラテン語にはconscientiaという語しかありませんでした。スピノザが生きた17世紀に、ちょうど「意識」という概念が必要とされ始め、それに対応する英単語も造語されました。では、スピノザはこの思想史上の大事件とどう関係しているか ── これが本書の核心に位置している問題です。

共著

  • 哲学の自然

    『哲学の自然』

    中沢新一との共著
    太田出版(atプラス叢書)/2013.3

    原発事故以後の日本社会のあるべき姿を考えるところから中沢さんとの議論は始まっていますが、その後、話は様々な方向に広がっていきました。そして最終的に、この対談は、話が広がるだけでなく、僕が地元で行っていた住民投票運動に中沢さんが関わってくださるところにまで至りました。この対談本はその一連の経緯の記録にもなっています。なおタイトルは中沢さんが考えました。中沢さんはタイトルを考えるのが本当にうまい!

  • 社会の抜け道』

    『社会の抜け道』

    古市憲寿との共著
    小学館/2013.10

    僕は一時期まで古市さんには期待していました。確かに当初より、一周回って「シラケ」が新しいもののように見えているだけかも、という感じもしていましたが、それはそれで、この時代において一定の役割を果たすであろうと思っていたのです。しかし、人間にとって大切なのは、何かを成し遂げねばならないと感じながら生きていることなのでしょう。成し遂げるものは、作品でも、自分の人生でも、何でもよいのですが。様々な現場への取材を通じて本を書くのはやったことがありませんでしたので、とても楽しかった記憶があります。

  • 統治新論

    『統治新論――民主主義のマネジメント』

    大竹弘二との共著
    太田出版(atプラス叢書)/2015.1

    大竹さんは当時、『公開性の根源』という圧倒的な仕事を雑誌連載中でした(その後、2018年に太田出版より刊行)。大竹さんの仕事は、一方では、近代初期に垣間見られた近代国家の本質を繊細な手つきで取り出しているという学問的な意味において、他方では、行政権力への注目が意図せずして現代社会の政治的傾向(より狭い意味では連載当時の日本の政権)の問題点を明らかにしていたという政治情勢的な意味において、私にとって極めて重要なものでした。その大竹さんと語り合った骨太の対談本です。民主主義と立憲主義の関係についてはぜひこの本を参照していただきたいと思います。

  • 保育園を呼ぶ声が聞こえる

    『保育園を呼ぶ声が聞こえる』

    猪熊弘子・ブレイディみかことの共著
    太田出版/2017.6

    保育園は本当に素晴らしい制度です。保育園をより充実させることで、日本社会はいま悩まされている多くの問題の一部を解消することができるでしょう。日本の保育にお詳しい猪熊さん、イギリスで保育士をされているブレイディさんのお二人と徹底的に保育について語り合った一冊です。タイトルは僕が考案しました。なんとなく、中島みゆき調にしています。

  • 僕らの社会主義

    『僕らの社会主義』

    山崎亮との共著
    筑摩書房(ちくま新書)/2017.7

    山崎さんとはなぜか話が合うのです。いろいろ理由があると思いますが、その理由の一つを歴史的なテーマに翻訳してみると、イギリスの初期社会主義に対する僕ら二人の関心というものがあります。ウィリアム・モリスやジョン・ラスキン、ロバート・オーウェンといった人々の名前を最近はあまり耳にしませんが、僕らはこれらの名前で知的に興奮するのです!

  • いつもそばには本があった。

    『いつもそばには本があった。』

    互盛央との共著
    講談社(講談社選書メチエ)/2019.3

    『スピノザの方法』を出版する前からずっと一緒にお仕事をさせてもらってきている編集者の互盛央さんとの共著。往復書簡の形で書かれた一種のブックガイドです。互さんは編集者の仕事をしながら何冊も本を執筆している超人で、ソシュールが専門の研究者でもあります。二人で普段、どんな話をしているのか、それを本にしてみたとも言えるかも知れません。

  • 〈責任〉の生成――中動態と当事者研究

    『〈責任〉の生成――中動態と当事者研究』

    熊谷晋一郎との共著
    新曜社/2020.12

    二人の出会いは『暇と退屈の倫理学』への感想を熊谷さんがツイッターで送ってくださったことでした。それ以来、僕は研究上の大変大きな刺激を熊谷さんから受けています。特に依存症というテーマは熊谷さんから教えていただいたものであり、このテーマを知らなければ、僕はもしかしたら『中動態の世界』を書かなかったかもしれません。この本は二人の十年近くの共同研究(というかお喋りしてきたこと)をまとめたものであり、中間報告のようなものです。

  • 言語が消滅する前に

    『言語が消滅する前に』

    千葉雅也との共著
    幻冬舎(幻冬舎新書)/2021.11

    千葉雅也さんは現代思想の研究者としても、また小説家としても大活躍されている方です。僕は昔からの友人ですので、普段も本当によく電話などで話をしているのですが、だからこそ、むしろ対談などはよっぽどのことがなければやらないことにしていました。しかし、折に触れて、二人で大切なテーマを対談という形で論じたことが何度かありました。後から振り返ってみると、それらの対話はいずれも言語をテーマにしたものとなっていたことには二人とも驚きました。

翻訳

  • ジャック・デリダ『マルクスと息子たち

    ジャック・デリダ『マルクスと息子たち』

    岩波書店/2004.1 → 岩波書店(岩波モダンクラシックス)/2010.10

    本という形になった僕の初めての仕事です。僕はフランスに留学していた頃、デリダの授業を受けて衝撃を受けました。日本で紹介されていた難解さなどとは無縁の明晰な話が毎週繰り返されていたからです。その時に得たデリダの言葉のリズムを何としてでも翻訳で生かしたいと思って翻訳したのがこの本です。巻末に掲載した長いデリダ論は第三期と呼ばれる時期のデリダの思想の全体的なまとめになっています。因みにこの本の編集を担当してくれたのが、当時、岩波書店にいた互盛央さんでした。

  • ジャック・デリダ『そのたびごとにただ一つ、世界の終焉

    ジャック・デリダ『そのたびごとにただ一つ、世界の終焉』(全2巻)

    土田知則・岩野卓司との共訳
    岩波書店/2006.1 2006.2

    翻訳するにあたっての方針は『マルクスと息子たち』の時と変わりませんでしたが、今回は、参照箇所が必ずしも明記されていないテキストが多くて、それを調べるのに大変苦労しました(学生はこういう書き方を真似しないように)。基本的に引用箇所指定がない引用もすべて出典を調べてあります。そのことに気づいてそれを褒めてくれたのは友人でデリダ研究者の宮﨑裕助君だけでした。分かってくれる人は分かってくれるんだなと感動したのをよく覚えています。デリダの書いた追悼文を集めたものです。日本ではあまり名前の知られていない人も含まれています。そのことで、これまで名前も知らなかった人の人生の厚みを、デリダの味のある追悼文から想像するという希有な経験ができる本になっています。

  • クレア・コールブルック『ジル・ドゥルーズ

    クレア・コールブルック『ジル・ドゥルーズ』

    青土社(シリーズ現代思想ガイドブック)/2006.2

    今では考えられないのですが、若い頃は頼まれ仕事があると、一冊の本の翻訳でも平気で受けていました。この翻訳も僕を見つけてくれた編集者の津田新吾さんがご提案くださった仕事でした。僕はその頃はパリにいて、ナシオン駅近くの喫茶店で打ち合わせをしたのを覚えています。その後、津田さんは2009年にお亡くなりになりました。津田さんにお目にかかれたのはその時、たった一度だけでした。

  • ジル・ドゥルーズ『カントの批判哲学』

    ジル・ドゥルーズ『カントの批判哲学』

    筑摩書房(ちくま学芸文庫)/2008.1

    僕は哲学をやりたくて大学院に行くのならば、カント哲学がある程度理解できることが一つの条件になるだろうといつも言っています。カント哲学は間違いなく、その内容にある程度通じていなければ哲学をやっているとは言えない、そのような哲学です。それぐらい今の哲学を規定しているのです。僕は自分でもある程度はカントを勉強してきましたけれども、この本の翻訳を通じて、自分なりの読みの視座ができたと今で考えています。

  • アンチ・オイディプス草稿

    フェリックス・ガタリ『アンチ・オイディプス草稿』(ステファン・ナドー編)

    千葉雅也との共訳
    みすず書房/2010.1

    こんなに大変だった翻訳の仕事はありませんでした。あまりにも大変だったので途中から千葉君に声をかけて手伝ってもらうことに。翻訳はしたものの、ここに書かれていることの価値は自分では十分には分からなかったように思います。最近、松本卓也君が論文の中で『アンチ・オイディプス草稿』に言及して有益な結論を引き出しているのを目にしました。すばらしいことです。大変だったけど翻訳してよかった。

  • ニーチェ――自由を求めた生涯

    ミシェル・オンフレ『ニーチェ――自由を求めた生涯』(マクシミリアン・ル・ロワ画)

    筑摩書房(ちくま学芸文庫)/2012.2

    原本はA4サイズくらいの、日本でいう絵本です。ですから、これを文庫サイズまで小さくするとすれば、台詞を短くしなければなりません。台詞を短くするためには、台詞の内容の深く理解していなければなりません。フランス語のニュアンスを汲み取るのに結構苦労したように思いますが、最終的にいい感じに仕上がりました。ニーチェの一生が描かれています。

  • 基礎づけるとは何か

    ジル・ドゥルーズ『基礎づけるとは何か』

    長門裕介・西川耕平との共編訳
    筑摩書房(ちくま学芸文庫)、/2018.11

    慶應大学で非常勤講師をしていた時の教え子である長門裕介君と西川耕平君の二人との共訳。冒頭のドゥルーズの講義「基礎づけるとは何か」は、受講者が取った講義のメモであるので、遺漏が多く、参照箇所の指定などはもちろんない。長門君と西川君はこれを徹底的に調べ上げてくれました。すばらしい調査能力です。二人は現在、研究者として活躍しています。ドゥルーズの授業は破天荒で、これを高校でやっていたのかと思うと、読んでいて元気がでます。